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第105回検討会討議《職域における新型コロナウイルス感染症対策の課題と現状 vol.6》

職域における新型コロナウイルス感染症対策

職域における新型コロナウイルス感染症対策の課題と現状 vol.6

職域多施設研究(J-ECOH)は、関東・東海に本社を置く企業(約10万名)が参加する大規模コホート研究です(研究代表者:土肥誠太郎先生、事務局:国立国際医療研究センター疫学・予防研究部)。 働く世代における生活習慣病や作業関連疾患を予防することや、職域健康診断の有効性や効率を高めることを主な目的としています。

毎月開催している検討会では、原著論文の輪読や研究動向の発表、情報交換などを行っています。2020年4月からは、新型コロナウイルス感染症に関する現状と課題の共有をめざした討議をオンラインミーティングとして行っています。

2020年10月9日 検討会

1.概要

 戸津崎先生(みずほ健康保険組合)のファシリテーションのもと、職域における新型コロナウイルス感染症対策に関する全体討議を行いました。今回は、以下のアンケートへの回答を踏まえた全体討議を行いました。
  • Q1. 前回検討会(2020年9月)から現在に至るまでの期間で、産業医として携わった新型コロナ対策についてお聞かせください。
  • Q2. 今後1か月の間に職域での取り組みで特に重要になるであろうこと、産業医として新型コロナウイルスに対応していく上で現在困っていることがあればお聞かせください。
  • Q3. 新型コロナウイルス感染症に関して検討会参加者に紹介したい情報(ウェブサイト、論文など)があれば教えてください。

2.最近の取り組み

「Q1. 前回検討会(2020年9月)から現在に至るまでの期間で、産業医として携わった新型コロナ対策についてお聞かせください。」という問いに対してあった回答をもとに討議を行った。
  • 情報提供
    • 紫外線の殺菌装置を会社の感染対策として紹介した
      • 紫外線の消毒は強いため、対象物の劣化が進む恐れがある。
      • 紫外線消毒を謳っている商品の中には紫外線障害に対する対策がない製品があるので注意する必要がある。
      • 参考資料
    • 最近の科学的知見に基づく感染リスクの高い・低い行動に関する情報提供。
      • マスク着用した場合はリスクが少ない。
      • マスクができない場(食堂)での注意は必要。
    • 冬季に向けての換気の注意喚起
      • 施設内の換気の設備がない、換気の能力が低い職場などでの換気対策などを指導(ビル管理によって換気を上げてもらう、窓を開けるなど)。
    • 平熱が高く、公共施設での利用を断られてしまっていた人へ対策
      • 9月の間、朝・昼・夜に体温を測ってもらい平均体温を表記したカードを作成した。
      • 最近は涼しくなったためか、平熱が低くなった。
  • 感染事例発生を受けての対処
    • 対外発表文書の作成すり合わせ
      • 下請け業者の休憩所でクラスター感染が発生し、対外発表した
        • 保健所と調整の上、当該事例に関する発表を行った。
        • 感染者の年齢・性別は公表しないようにという指示だった。
        • 近隣地域住民を動揺させないような配慮をすべきという話だった。
        • 保健所の負担にならないよう、問い合わせ先は保健所ではなく職場にした。
        • 参考資料
  • 感染予防の対応状況
    • 社員への周知
      • 身近にコロナがないため、そんなに意識が高くない印象がある。マスクを着用している人は多い。
      • コロナ対策をするように定期的に喚起はしている。
    • 社員食堂での会話
      • 社員の意識が緩くなってきている。
      • 社内アナウンスで会話を控えるように注意している。
  • 発熱や風邪症状を認める社員の職場復帰の目安について、日本産業衛生学会・日本渡航医学会のガイドライン(8-3ルール)の運用状況
    • ほとんど遵守していない。あくまでも医師の指示に従ってもらっている。
    • ルールをほぼ順守しているが、発熱等の原因が明らかになった場合には例外。
    • 嘱託産業医先の企業では、まだほぼすべてがガイドラインを遵守している。
    • 基準を弱めるとマスコミが怖い。

3.今後の対策、現在困っていること

「Q2. 今後1か月の間に職域での取り組みで特に重要になるであろうこと、産業医として新型コロナウイルスに対応していく上で現在困っていることがあればお聞かせください。」という問いに対してあった回答をもとに討議を行った。
  • 新型コロナウイルス感染症対策
    • 対策を緩和させるタイミングの判断(着地点の判断)
      • 様々な情報があり、判断に困っている。
      • ビジネストラック(主にビジネスを目的とした両国への入国を、活動計画書の提出などの諸条件付きで認めること)の普及に合わせて緩和させていくことになるのか。
  • インフルエンザと新型コロナの同時流行への対策・対応
    • インフルエンザ予防接種を多くの従業員に受けてもらうように積極的にアプローチしている
    • ワクチン接種会場でもソーシャルディスタンスを意識するように準備中
      • 15分単位で来させる、2m距離を取らせるなど。
    • 厚労省が提示した高齢者を優先する接種スケジュール案への対応
      • 10/26以降に接種をスケジュールしていたため、特段の変更はなく、実施予定。
      • 今年は感染対策の徹底により、学級閉鎖なども少なく、インフルエンザ自体の蔓延が少ないことが予想される。子供や成人よりもやはり、高齢者の重症化に焦点を当てる必要がある。
  • ストレスチェック
    • 現在、メンタルヘルスに関する面接を希望してくる人は少ない。
    • 面接する場合、産業医の対応として、アクリルボードの設置、マスクを着用した状況でもいいか確認した上で面接を行っている。信頼関係が重要な課題である
    • 一方でクリニック等医療機関での面接も推奨している。
    • クリニックでの面接の場合、面接時の感染症対策はクリニックに任せている。
  • フェイスシールドの有効性

4.参考になる情報

「Q3. 新型コロナウイルス感染症に関して検討会参加者に紹介したい情報(ウェブサイト、論文など)があれば教えてください。」という質問に対しての回答と討議の途中に出た意見を下に示す。
  • 「新型コロナ、不顕性者からの感染リスクは?」 (中国・前向きコホート研究)
    https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0819531378/
    • 中国広東省・広州疾病予防コントロールセンターによる、新型コロナウイルス感染症患者および濃厚接触者を対象とした二次感染リスクを検証するコホート研究
    • Luo, Lei, et al. "Contact Settings and Risk for Transmission in 3410 Close Contacts of Patients With COVID-19 in Guangzhou, China: A Prospective Cohort Study." Annals of internal medicine (2020).M
      https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M20-2671
    • 著者の結論
      • 家庭内での濃厚接触によるリスクが特に高い。
      • COVID-19患者の重症度が高いほど二次感染リスクが高い。一方、不顕性感染者によるリスクは限定的である。

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