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第107回検討会討議《職域における新型コロナウイルス感染症対策の課題と現状 vol.8》

職域における新型コロナウイルス感染症対策

職域における新型コロナウイルス感染症対策の課題と現状 vol.8

職域多施設研究(J-ECOH)は、関東・東海に本社を置く企業(約10万名)が参加する大規模コホート研究です(研究代表者:土肥誠太郎先生、事務局:国立国際医療研究センター疫学・予防研究部)。 働く世代における生活習慣病や作業関連疾患を予防することや、職域健康診断の有効性や効率を高めることを主な目的としています。

毎月開催している検討会では、原著論文の輪読や研究動向の発表、情報交換などを行っています。2020年4月からは、新型コロナウイルス感染症に関する現状と課題の共有をめざした討議をオンラインミーティングとして行っています。

2021年1月15日 検討会

1.概要

 戸津崎貴文先生(みずほ健康保険組合)のファシリテーションのもと、職域における新型コロナウイルス感染症対策に関する全体討議を行った。今回は、以下のアンケート項目への回答を踏まえた討議を行った。
  • Q1. この1か月で産業医として携わった新型コロナウイルス対策についてお聞かせください。
  • Q2. 今後1か月の間に特に重要になるであろうこと、現在困っていることがあればお聞かせください。
  • Q3. 新型コロナウイルス感染症に関して検討会参加者に紹介したい情報(ウェブサイト、論文など)があれば教えてください。

2.最近の取り組み

「Q1. この1か月で産業医として携わった新型コロナ対策についてお聞かせください。」という問いに対する回答をもとにした討議は以下の通り。
  • 情報提供・感染予防策
    • 情報収集し、健康管理部門内で展開
      • 色々な情報が溢れているため、定期的に基本的な感染予防対策について指導している。
    • 事業者からの相談
      • 社内ルールや感染対策
      • 従業員の家族に関して
    • 学会ガイドの紹介と施策への落とし込み
    • 巡視の際の指摘事項
      • 喫煙所におけるソーシャルディスタンシング
        • 椅子の距離をあける、立つ場合は、テープを貼り距離を取らせる。
        • 緊急事態宣言以降、喫煙所は一人限定仕様にしている。
          (喫煙率・出勤率が低いため可能なのかも。)
        • 禁煙指導を並行する必要がある。
      • 温度・湿度の維持
      • 換気の励行
      • 更衣室を使用している人数の表示など
    • 都営大江戸線の運転士の集団感染事例において、洗面所の蛇口を介した感染が原因であるような報道がされた。
      • 蛇口の接触が感染の主たる原因であるとは考えにくいのではないか。
      • 環境を含めた実態を確認しなければ判断は難しいであろう。
      • 基本的な感染予防対策を引き続き行うよう指導している。
  • 重症化リスク要因のある従業員への対応
    • 主治医と連携して在宅勤務指示
  • 感染例・疑い例の対応
    • 陽性事例確認と濃厚接触者確認
      • 保健所が聞き取りを実施する体制に限界がきているため、保健所と協力しながら濃厚接触者の確認を行っている。
      • 神奈川県内の保健所では、一般企業内の濃厚接触者調査を行わないこととなり、企業内で接触者をより詳細に判別しなければならなくなった。
    • 陽性者が出た事業所の対応、会社との連携
    • 感染者発生後の職場の濃厚接触者対応
    • 体調不良者(発熱)相談
  • 感染した社員の職場復帰対応
    • 感染者の復職面接
    • 感染者の就業再開の判断
  • 3.今後の対策、現在困っていること

    「Q2. 今後1か月の間に特に重要になるであろうこと、現在困っていることがあればお聞かせください。」という問いに対してあった回答をもとにした討議は以下の通り。
    • 感染者・感染疑い例への対応
      • 濃厚接触者確認
        • 神奈川・東京・千葉・埼玉の保健所では、積極的疫学調査等の対応が難しくなっている。
        • 年末頃から会社(千葉)で独自に濃厚接触者を把握し、PCR検査を受けさせている。
          →PCR検査の費用負担を要するため、会社のサポートがないと厳しい。
        • 全国に店舗があり管理が大変であるため、PCR検査から職場復帰までをマニュアル化して、対応している 。
          • 別会社となるテナント入居の事業者に対しては、PCR受検時に本部へ報告するように指示。
          • PCR検査を受けることが決まった時点で、結果が出るまで自宅待機にしてもらっている。
      • 感染者のフォロー
      • 検査陰性者または非確定者の復帰のさせ方
    • PCR検査
    • 感染動向
      • 変異型への対応(追加の措置が必要かどうか)
        • 現時点では、感染拡大機序に変わりはなく、新たな対策は必要ないのではないか。
        • 変異型の方が感染性は高いが、重症化率や致死率や、ワクチンの効果はまだ不明。
        • 判断にはまだ時間が必要。
      • 感染爆発が起きた際の対応
        • 感染性や病毒性等、見えないところも多いので事前準備は難しい。
    • 感染予防策の徹底
      • 不要不急ではない私用会合の管理
        • 会食・会合を禁止している。
        • プライベートまで踏み込んだ対策をとっている(プライベートの飲食・ゴルフ等の禁止)。
      • 昼食時の飛沫対策
        • 徹底させるのが難しい。どこまで注意すべきか判断が難しい。
        • 執行部・人事部と協力して、徹底してもらっている。
          • 10分に一度アナウンス。
          • 不適切な事例があれば部長レベルが注意。
        • 食堂で映画を上映し、会話を減らすように対策している。
      • マスク着用
        • マスク着用の注意をしたところ、不安神経症のため着用できないという診断書が提出された。
      • 出社をなくせない業務に従事する方の感染予防として他に何ができるか
        • 社内でできる感染予防対策はすでにとっている。
          • 常時マスク着用
          • 在宅勤務をできる限り増やす
          • 時差出勤
    • 重症化予防
    • 生活環境の変化と健康
      • 緊急事態宣言期間中のメンタルヘルス対策
        • 顔を見ながらコミュニケーションをとるようにしている。
        • 人事の勤怠管理担当の方が積極的に動いている。
        • 個々人の状況に合わせた対応することが重要。
          • 上司 - 部下の関係が良好でなければ、テレワークは却ってメンタルヘルスの問題の軽減につながる。
          • 負担、不安を抱え込みやすい環境であることは間違いなく、個人の特性に合わせた対応を注意喚起することが必要。
      • 海外拠点での働き方・出張
        • 出向した人(部長レベル)は基本的にテレワーク。生産現場の部長等は、週3程度現場に行っている。
        • 現地には行けないため、現地の時間に合わせて働いている人もいる。
        • 海外の営業拠点は意外とテレワークでも個人個人で会話している。海外の方が1on1コミュニケーションに慣れている。
        • 現地工事に行きっぱなしの従業員も多い。
        • 出張に行くとビジネスホテルなので食事もなく、外のお店も開いていないため、干上がってしまうという悩みを電話相談で聞いている。

    4.参考になる情報

    「Q3. 新型コロナウイルス感染症に関して検討会参加者に紹介したい情報(ウェブサイト、論文など)があれば教えてください。」という質問に対しての回答と討議の途中に出た意見を下に示す。

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