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第127回検討会概要《騒音下で起こる生理学的変化/自律的化学物質管理》

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開催概要

日 時:2023年10月12日(木)19:00-20:30
場 所:オンライン討議
ファシリテーター:長濱さつ絵先生(東京ガスカスタマーサポート株式会社)

研究動向:騒音下で起こる生理学的変化

演 者:横谷俊孝先生(三菱重工業株式会社)
抄 録:騒音は工業現場において全世界で普遍的に存在する健康障害要因の一つである。その最たるものとして騒音性聴覚障害が知られている。そのため騒音レベルを内耳傷害の起こりにくいレベルに下げるよう低減することが、騒音保護として行われてきた。しかし、普遍的に存在する要因である割には騒音が及ぼす心理的影響や自律神経的影響についての検討はなされてこなかった。そこで、心理調査票や自律神経のマーカーを用いて数値的に評価を行うことを考えた。指標については労働現場で追跡調査を行うことを考慮し、リアルタイムかつ非侵襲的に行えるものを用いた。また、作業成績に対しても影響が出るのではないかと考え、単純作業の実施速度についても評価を行うこととした。今回の発表ではこれらの結果について報告させていただく。

話題提供:自律的化学物質管理

講 師:山本健也先生(労働安全衛生総合研究所)
抄 録:皆様ご存じのとおり、職場における化学物質管理が大きな転換点を迎えています。従来、労働衛生における化学物質管理は四則(有機則、特化則、鉛則、四アルキル鉛則)および労規則と一部通達により指定された物質に対して実施されていましたが、今後はその対象物質数が拡大することになり、それに合わせて、管理方法が従来の「法遵守」から「自律的な管理」へと変わります。「自律的」が導入された背景には、対象物質が増えること対して管理方法に柔軟性を持たせたことが一つありますが、実は「リスク」と「自律」は表裏一体の関係があり、リスクベースの管理を導入するに際して「自律的」は外せない概念になります。なお、労働安全衛生以外の観点で見れば、職場の化学物質管理は、特に輸出入に関わる製造業では既に浸透している概念であり、GHS及びSDS等による危険性有害性情報の伝達とそれに基づく管理が実践されている職場は少なくありません。日本ではGHSに基づく国内法規が労働安全衛生法で規定されていることから、こうした制度の改変に際して、産業保健としての観点も併せて進められることになります。産業医はリスクアセスメントの実践者ではなく、職場が自律的に管理が出来るように支援をする立場で関わることが重要です。

総合討論

自律的化学物質管理について事前に実施したアンケートの結果をもとに、総合討議を行った。自律的化学物質管理の準備状況や産業医業務の中での優先順位、事業所にある化学物質の把握方法などについて、参加者同士で情報が共有された。