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第123回検討会概要《公衆衛生分野のキャリア/AYA世代のがんと就労》

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開催概要

日 時:2023年4月13日(木)19:00-21:00
場 所:オンライン討議

特別講演:公衆衛生分野のキャリアについて -自身の経験も踏まえて

演 者:曽根智史先生(国立保健医療科学院)
抄 録:国立保健医療科学院は、2002年設立の厚生労働省の試験研究機関で、旧国立公衆衛生院(1938年設立)、旧国立医療・病院管理研究所(1949年設立)等の流れをくむ。自治体の公衆衛生従事者の養成訓練(年間2000人)と公衆衛生に関する調査研究を両輪として、国民の安心・安全な生活に寄与している。
 演者は、卒後10年間公衆衛生学教室で働き、この間、米国エモリー大学公衆衛生大学院修士課程で学んだ。1997年に旧国立公衆衛生院に移り、2002年から国立保健医療科学院で、養成訓練や調査研究に従事してきた。公衆衛生は、行政と深く結びつき、根本原因がわからなくても対処できる(しなければならない)、システム(法・制度、リソース)を整えることによって社会を変える、医学以外の方法論や価値観を導入できるなど、様々な特徴と面白さを持つ分野である。
 周囲に左右されず、かつ変化に対応できる「内なるスタンダード」を持つよう努めてきた。振り返ってみても、現状が将来プラスに働くのか、マイナスに働くのかはその時点ではわからないことが多い。日々学び、着実に仕事を積み重ねていくことが重要ではないかと感じている。

特別企画:AYA世代のがんと就労 ~産業保健の視点で読み解く「2冊のだいすきノート」~

講 師:田村建二記者(朝日新聞社)
ファシリテーター:川島恵美先生(滋賀医科大学)
共同企画者:大津真弓先生(合同会社ひまわり)、坂本宣明先生(ヘルスデザイン株式会社)
指定発言:立石清一郎先生(産業医科大学)  
内 容:田村建二朝日新聞社記者を演者に招き、著書である『2冊のだいすきノート』を題材にAYA世代のがんと就労について議論した。まず田村記者から、がんと診断されたAYA世代の女性とその家族が直面した様々な課題や、当該女性の夫の就労上の配慮について時系列で概説いただいた。続いて、“従業員本人だけでなく、家族ががんにかかったとき、産業医にはどんな支援が期待できるのか”という問いに答える形で議論を進めた。
 どのような支援ができるかは会社の制度や方針にも左右されるが、産業医はそうした従業員の話を傾聴し、問題の本質を探り、課題を整理するスキルを身に着けておくこと、またAYA世代向けの在宅療養制度やその子どもをサポートする自治体の制度など、がん患者やその家族を支援する社会的資源について最新の情報を把握しておく必要がある。家族のがんについて従業員が産業医に相談するには、産業医の活動が社内でよく認知され、従業員の信頼を得ておくことが前提となろう。特別発言者として登壇した立石清一郎産業医科大学教授は、産業医は産業医学を含む社会医学の専門家として、社内外における支援資源に関する情報を事例に応じて取捨選択し提供することで、がんを患った従業員の就労に関する意思決定を支援することの重要性を指摘した。