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第96回検討会概要《先進12か国における高血圧の病識、治療、血圧コントロールの短期的および長期的傾向:国別代表サンプル123件の解析》

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◆開催日時:2019年11月9日(土)
◆参加人数:36名

※今後の開催予定
12月6日(金)午後6:30~ 産業医科大学東京事務所
1月10日(金)午後6:30~ 産業医科大学東京事務所

◆特別講演
タイトル:音声感情解析とその応用 -Affective Computingの現在位置とその課題
演  者:山崎 はずむ 先生(株式会社Empath)
 株式会社Empathでは、声の音響物理的な特徴から感情を判定する人工知能(AI)「Empath」の開発を行っている。一般的に、表情、言語、心拍などの情報をAIを使って解析する研究領域をAffective Computingといい、Empathもそうした領域のサービスの一つである。Empathは東日本大震災後に仮設住宅支援スタッフ向けの自殺予防対策のスクリーニングツールとして採用されたほか、日々の気分を計測することにより利用者のセルフケアを促進させるアプリ(「じぶん予報」)の開発や、コールセンターに電話してきた顧客の感情を判定し、業務を支援するといった場面で活用されてきた。
 Affective computingが抱える課題として挙げられるのは、(1)表情、音声、心拍以外の周辺付帯情報(コンテキスト)をどの程度解析に含めるか、(2)コンテキストをも反映しうるデータを、プライバシーに配慮しつつ、どのように収集するか、さらに(3)感情のアノテーションを誰がどのように行うべきか、といった点である。メンタルヘルス領域にかぎって言えば、学習データとして使える精神疾患の患者のデータの確保(法的・倫理的問題への対処)、そしてアノテーションの問題などがあり、今のところFDA(アメリカ医療機器認証)を取得するようなサービスは出てきていない。Empath社としては、精神疾患の検知を目的とするのではなく、「気分」の解析を目的として、コールセンターやロボットで活用されることを想定した開発方針をとっている。
 近年のメンタルヘルス・テック領域では、(1)センサーデバイスの開発、(2)カウンセリング・プラットフォームの提供、(3)企業向けEAP(従業員支援プログラム)の提供、(4)創薬など、様々なスタートアップ企業が誕生しているが、そうしたサービスが本当に実用化されうるのか、また、精神疾患が判定できるようになったとしても、どのような介入をすれば問題解決に至るのか、といったことに関しては、依然として大きな課題になっているのが実情である。

◆紹介論文
論文題名:Long-term and recent trends in hypertension awareness, treatment, and control in 12 high-income countries: an analysis of 123 nationally representative surveys.
和   訳:先進12か国における高血圧の病識、治療、血圧コントロールの短期的および長期的傾向:国別代表サンプル123件の解析
掲載誌:Lancet 2019; 394: 639–51.
担   当:山本 健也 先生 (コンセプトシート
【紹介論文を理解するための6つの質問】
1)本研究で使用したデータと解析対象者について説明してください。
2)病識、治療、血圧コントロールはそれぞれどのように定義されていますか。
3)病識、治療、血圧コントロールの経時的推移に違いはありますか。
4)血圧コントロールが良好な国と不良な国をそれぞれ挙げてください。
5)日本における高血圧治療の年齢階級別割合について説明してください。
6)血圧コントロール割合が停滞した理由をどのように解釈していますか。