第116回検討会概要《スウェーデンの全国コホートにおける新型コロナウイルス感染症罹患および後遺症による病気休業のパターンと予測因子》
前の記事 | 次の記事開催概要
日 時:2022年6月10日(金) 19:00-20:30
場 所:オンライン討議
論文紹介:スウェーデンの全国コホートにおける新型コロナウイルス感染症罹患および後遺症による病気休業のパターンと予測因子
本論文では、スウェーデンの労働人口で、2020年に新型コロナウイルス感染症による休業手当を受取開始した全データを用い、新型コロナウイルス感染症診断を理由に(1)長期病休(1月以上の病休取得)や(2)Long COVID(12週以上の病休取得)になった人の特徴を検討した。 (1)長期病休については新型コロナウイルス感染症のための入院歴、前年度までの病休取得歴、低収入、(2)Long COVIDについては同じく入院歴と病休取得歴、加えて自営業または失業中、配偶者との死別、がオッズ比を増加させる予測因子として報告された。入院歴の有無別に検討すると、入院歴有の対象者における予測因子は、(1)長期病休では高年齢、(2)Long COVIDでは高年齢に加えて病休取得歴と失業中であった。一方、入院歴無の対象者における予測因子は、(1)長期病休では高年齢と病休取得歴であり、(2)Long COVIDでは病休所得歴、教育歴が10~12年、自営業、配偶者との死別であった。
(発表者: 黒田玲子)
議 題:「J-ECOHスタディの新型コロナウイルス感染症登録制度」
「J-ECOHスタディにおける新型コロナウイルス流行前後の長期病休のトレンド」
2020年7月よりJ-ECOHスタディの参加5施設で運営している新型コロナウイルス感染症の登録制度について、同登録制度で収集している情報(生年月・性別などの基本情報、発症から診断・治療までの状況、ワクチン接種歴、感染後の勤務の再開状況等)の紹介をしたうえで、2022年4月末現在までの617件の症例を集計した結果について、参加者に報告した。 また、新型コロナウイルスが引き起こした健康二次被害の評価の一環として実施した、長期病休の発生トレンドの新型コロナウイルス感染流行前後での変化に関する解析について結果を報告した。より具体的には、J-ECOHスタディで2012年4月から収集してきた長期病休の月別データを使用して、新型コロナウイルス感染症が流行しはじめた2020年2月以降の発生件数を予測した。そのうえで、実際に観測された値との比較を行い、トレンドの変化の評価を行った。
総合討議
上記の3題の発表に関連した総合討議を行った。具体的には、「日本やスウェーデンにおける病休制度の違い」「産業保健分野で報告されるLong COVIDの症例」などについて、参加者間で討議した。