第118回検討会概要《新型コロナ対応とその先:データ駆動型アプローチ》
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日 時:2022年9月3日(土) 10:00-12:00
場 所:オンライン討議
特別講演 :新型コロナ対応とその先:データ駆動型アプローチ
講 師:野村 周平 先生(慶応義塾大学)
地方自治体の新型コロナウイルス感染症対策支援に従事されてきた野村周平先生(慶応義塾大学医学部医療政策・管理学教室 特任准教授)をお招きし、特別講演をしていただいた。講演では、以下に詳述する(1)ソーシャルネットワークサービス(SNS)を活用した行政向けの支援と、(2)2020年以降の日本の超過死亡について、研究成果をお示しいただいた。
(1)SNSを活用した行政向けの支援
野村先生が率いるチームは、SNSを活用した「新型コロナ対策パーソナルサポート(行政)」のデータ統括と分析を通して、都道府県の新型コロナ対策を支援された。ユーザーが入力した発熱症状のデータは、実際の新型コロナ感染者数との間に高い相関があることが示された。また、当該データを活用してテレワーク実施率の地域差を示すなど、数多くのエビデンスを発信されている。
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/covid-19_response2_profnomura/
(2)2020年以降の日本の超過死亡
2020年に超過死亡ダッシュボードを立ち上げ、米国疾病予防管理センター(CDC)が用いるFarringtonアルゴリズムで算出した日本の超過死亡データを公開している。2020年当初は予測よりも少ない死亡数で推移していたが、2021年春以降に超過死亡を観測している。現在は「シンデミック」と呼ばれるように、新型コロナ感染症が慢性疾患や自殺といった非感染性疾患と相互作用して集団の健康に影響を及ぼすような状況といえる。今後パンデミック対策としても、非感染性疾患に着目することが一層重要であることをご教示いただいた。
(文責:堀愛)
研究報告 :「J-ECOH新型コロナ登録」「J-ECOH新型コロナ長期病休研究報告」「職域コロナ インタビュー中間報告」
2020年7月よりJ-ECOHスタディの参加5施設で運営している新型コロナウイルス感染症の登録制度について、2022年6月末までの718件の症例を集計した結果(性・年齢別の罹患者数、ワクチン接種歴、感染後の勤務の再開状況等)について、参加者に報告した。また、新型コロナウイルス感染流行前後における長期病休取得パターンの変化に関する解析について結果を報告した。
さらに、2022年7月より開始した「職域における新型コロナ対策に関するインタビュー調査」について調査の目的や実施状況について事務局より紹介した。