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119回検討会概要《中高年者におけるフレイル・プレフレイルと多疾患罹患および死亡率との関連》

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開催概要

日 時:2022年10月14日(金)19:00-20:30
場 所:オンライン討議

ミニレクチャー

1 フレイルの概念と疫学
内 容:フレイルの概念的な定義、疫学、および評価方法について概説した。また、研究部スタッフを被験者としたフレイル評価の実演も行った。フレイルはもともと高齢者での使用を念頭に考案された概念ではあるが、最近では若年者のフレイルに着目した研究が増えてきている。講義では、そうした若年者(勤労世代)におけるフレイル研究についても紹介した。(発表者:事務局・山本 尚平)

2 フレイルと食事
内 容:フレイル予防のための食事について、日本人の食事摂取基準を踏まえた概説を行った。フレイル予防のためには栄養バランスの取れた食事が有効であり、特にたんぱく質の摂取量を適切な範囲内に保つことが重要である。食習慣の形成には時間がかかること、フレイル予防のための食事はその他の非感染性疾患の予防にも有用であることから、職域において健康的な食事を推進することは、将来のフレイル予防にも役立つと考えられる。(発表者:藤原 綾)


論文紹介:中高年者におけるフレイル・プレフレイルと多疾患罹患および死亡率との関連:バイオバンク参加者の前向き疫学研究

本論文は、英国バイオバンクに登録した37~73歳のイギリス人のコホートデータ(追跡期間中央値:7年間)を用いて、フレイル・プレフレイルと多疾患罹患との関連、および死亡リスクとの関連を検討したものである。フレイルはFriedらの定義を用いて定義した。

解析の結果、罹患する疾患の数が多いほど、プレフレイル、フレイルであるオッズ比が高くなることが示された。特にオッズ比が高い疾患は、多発性硬化症、慢性疲労症候群、慢性閉塞性肺疾患であった。

死亡リスクを検討した検討では、37~45歳の女性を除くすべての性・年齢階級の対象者において、プレフレイル、フレイルの対象者の死亡のハザード比が、社会経済状況、BMI、喫煙習慣、飲酒習慣、他疾患罹患数を調整した後でも統計学的有意に高くなっていることが示された。

中高年者や若年者を含めてフレイルと死亡率との関連を報告した研究は少ない。フレイルの有無を確認することで、死亡リスクの高い中高年者を特定でき、さらにフレイルに早期介入することで、効果的な健康増進の取り組みにつながる可能性がある。(発表者:長濱 さつ絵)

書誌情報:Hanlon P, Nicholl BI, Jani BD, Lee D, McQueenie R, Mair FS. Frailty and pre-frailty in middle-aged and older adults and its association with multimorbidity and mortality: a prospective analysis of 493 737 UK Biobank participants. Lancet Public Health. 2018;3(7):e323-e332.

総合討論

紹介論文に関連した総合討議を行った。具具体的には、「若年期・中年期から始められるフレイル予防対策として職域で行えそうな対策のアイディア」「フレイル予防対策を職域で導入する意義と根拠」などについて、参加者間で討議した。