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120回検討会概要《長期病気休業者の復職・退職・死亡に関する研究:原因疾患別の検討》

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開催概要

日 時:2022年12月9日(金)19:00-20:30
場 所:オンライン討議

論文紹介:長期病気休業者の復職・退職・死亡に関する研究:原因疾患別の検討

本論文はJ-ECOHスタディのデータを用いて、長期疾病休業者の休業後の転帰経過(復職、退職、および死亡)について、原因疾患に着目しながら検討したものである。2012 年 4 月~2014 年 3 月の間に病気のため連続30日以上休業した、1,209名(11社、55歳未満)を対象に、競合リスクを考慮した生存分析により、復職、退職、死亡の累積発生率を算出した。
追跡期間中、長期休業者のうちの83.9%が復職、13.8%が退職、2.2%が死亡した。休業の主たる原因疾患ごとに検討した場合、これらの割合には違いがみられ、例えば1年後までに復職した人の割合は精神疾患で低く(70.3%)、循環器疾患(85.9%)や外傷(89.3%)で高かった。休業者の死亡はがんを原因疾患とするものがそのほとんどを占めた。
なお、最終的に復職できた人を分母にした場合、1年以内に復職した者の割合は89.3%に上った。病気により長期休業となった場合、復職時期は休業から1年以内が多いことから、少なくとも1年間の給与を補償する疾病休業制度があると、大半の長期休業者の復職をサポートできることが示唆された。また、長期休業中の死亡の大半はがんによるもので、がんによる長期休業者では死亡しなければ大半が復職していたことから、がんの早期発見による死亡率低下は、がんによる長期休業者の就業継続性向上に役立つことが示唆された。 (発表者:西浦 千尋)

書誌情報:Nishiura C, Inoue Y, Kashino I, Nanri A, Endo M, Eguchi M, Kochi T, Kato N, Shimizu M, Imai T, Nishihara A, Yamamoto M, Okazaki H, Tomita K, Miyamoto T, Yamamoto S, Nakagawa T, Honda T, Ogasawara T, Sasaki N, Hori A, Kabe I, Mizoue T, Dohi S. Diagnosis-specific Cumulative Incidence of Return-to-work, Resignation, and Death Among Long-term Sick-listed Employees: Findings From the Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study. J Epidemiol. 2022 Sep 5;32(9):431-437.

総合討論

紹介論文に関連した総合討議を行った。具体的には、「在宅勤務者の勤怠管理の方法」、「コロナ後遺症の社員の復職支援 」などについて、参加者間で討議した。

その他

・事務局より2023年度検討会の運営方法(開催日・時間、進め方)について提案した。
・「職域における新型コロナ対策に関するインタビュー調査」の実施状況について報告した。
・2012~2022年度の疾病登録に関する集計結果の速報を報告した。