第131回検討会概要《鉄道運転士に対する睡眠管理(睡眠障害のスクリーニング)》
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日 時:2024年4月11日(木)19:00-20:30
場 所:オンライン討議
ミニレクチャー:睡眠管理に関するミニレクチャー
発表者:永田 康喜(事務局)
抄 録:睡眠に関する先行研究・調査の内容を参加者間で共有することを目的に、発表を行った。具体的には、「日本人の睡眠の現状」、「睡眠不足が健康アウトカムに与える悪影響」、「睡眠不足をもたらす要因」、「勤務間インターバルと睡眠時間・睡眠の質との関連」などについて発表した。また、「交替勤務に従事する人の睡眠の特徴」についても、最新の研究成果を紹介した。
話題提供:鉄道運転士に対する睡眠管理(睡眠障害のスクリーニング)
演 者:川島 正敏 先生(東海旅客鉄道株式会社)
抄 録:睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に無呼吸や低呼吸の状態が繰り返される疾患で、いびきや日中の耐え難い眠気だけでなく、夜間の排尿や頭痛など、症状は多岐にわたることが知られている。中でも日中の耐え難い眠気は、突然意識を失うような事態が想定されることから、運転従事者の事故防止という観点からも、措置を講じる必要がある。東海旅客鉄道株式会社では、すべての運転士に対して、睡眠障害のスクリーニングを行っている。睡眠時無呼吸症候群等の睡眠障害を認めた場合には、適切な治療を行うことを促し、その治療効果が確認されることをもって、運転業務に復帰することとしている。この一連の睡眠管理により、病的な眠気を抱えたまま運転業務に従事する危険性を減らすことができ、鉄道会社にとって最優先である安全の確保に寄与している。今回、東海旅客鉄道株式会社における鉄道運転士に対する睡眠管理(睡眠障害のスクリーニング)について報告する。
総合討論:職域における睡眠管理に関する現状と課題
ファシリテーター:山本 誠 先生(ヤマハ株式会社)
抄 録:受講者への事前アンケートの結果を報告したあと、個別のコメントについて総合討論を行った。各職場での取り組みとしては、健康保険組合とのタイアップでアップルウォッチを購入し異常値があれば受診を勧めるケース、海外の事業所との時差に伴う睡眠時間のズレが発生する事例についてコメントがあった。また睡眠に関する困った点として、裁量労働制で睡眠リズムが悪い事例やアルコールが絡む問題、ナルコレプシーかと思ったら睡眠時無呼吸症候群だった例などの報告があった。いずれの事例も解決は簡単ではないが、事例性と疾病性を分けて考え、産業医が医療的な問題についても一定の役割を果たす必要があることが討議された。