第132回検討会概要《職域における転倒災害防止対策について》
前の記事 | 次の記事開催概要
日 時:2024年6月13日(木)19:00-20:30
場 所:オンライン討議
話題提供:職域における転倒災害防止対策について
発表者:増田 将史 先生(株式会社 Smart OHW)
抄 録:日本の産業現場では年間約13万件程度の労働災害が発生している。内訳として最も多いのが転倒災害で全件数の約27%を占めている。転倒災害対策が安全衛生上の重要課題となっており、政府の第12次労働災害防止計画以降、特に労災発生件数の多い第三次産業(小売業等)が重点対象業種に指定される等、有効な対策が求められている。しかしながら近年の第三次産業従事者の急激な増加や、分散事業場で事業展開され、個別の事業場(店舗等)の安全衛生体制が未整備であるといった課題もあり、店頭災害防止・削減の有効な手立ては確立していないのが実情である。また、小売業における転倒災害発生の要因分析についてもまだ十分とは言い難い。本発表では、演者がこれまでに関わった転倒災害防止のための取組について事例を紹介するとともに、今後の転倒災害防止対策のあり方について議論を行った。
ミニレクチャー:転倒しにくい歩き方
発表者:山本 尚平(事務局)
抄 録:転倒の原因には主に環境要因と身体的要因(機能障害)がある。しかしながら、これらの要因がない状況でも転倒は発生する。本ミニレクチャーでは「何もないところでつまずく」原因について運動学の観点から概説した。そして、つまずきにくい歩き方やそのための準備体操について動画解説を交えて紹介した。
総合討論:転倒災害防止対策に関する討議
ファシリテーター:横谷 俊孝 先生(三菱重工業株式会社)
抄 録:各事業所で実施されている転倒災害防止対策に関する事前アンケートの結果を踏まえながら、総合討論を行った。アンケートに回答した産業医が担当する事業所における転倒の被災状況は全国的な傾向と同様で、50歳以上の年齢層や女性で多かった。業務中の転倒災害としては、段差や階段に関する事例が多く、通勤中の転倒災害では、服装や天候に関する事例が多く報告された。作業場や通路、バックヤードの整理・整頓の徹底や、ながら歩きの禁止、転倒しやすい場所に注意を促す標識をつけるなど、各事業所で行われている具体的な転倒災害対策の取り組みについても情報共有された。